
捻挫とは、文字通り関節にねじれの力が加わって起こるケガのうち、骨折や脱臼を除いたもの、つまりX線(レントゲン)で異常がない関節のケガは捻挫という診断になります。
具体的には靭帯や腱というような軟部組織といわれるものや、軟骨(骨の表面を覆う関節軟骨、間隙にはさまっているクッションである半月板や関節唇といわれる部分)のケガと定義されています。(日本整形外科学会ホームページ参照)
人生で一度は足をくじいて、捻挫してしまったといった経験がある人は多いのではと思います。特に足首の捻挫は、スポーツで起こる最も多い怪我の一つであると言えます。
今回は捻挫とはどういう状態なのか、正しい対処法とは?
について解説していきたいと思います。
スポーツの場面で捻挫してしまったといった方は是非参考にしてみてください。
そもそも靭帯とは?
骨と骨を連結する線維性結合組織で、関節に安定をもたらす働きがあります。
水とコラーゲン線維、たんぱく質で構成され、伸張や圧縮、剪断ストレスに強い構造となっています。
怪我から関節を守る働きがあります
高齢になればなるほど、靭帯の弾性や強度が下がるとされています
男女比でも女性の靭帯は男性よりも力学的に虚弱であると言われています
適度な運動による負荷を与えると、コラーゲン合成に寄与する分子反応を活性化させ強化できる可能性があると考えられています
コラーゲンの合成に必要なアミノ酸やビタミンCを摂取することが、靭帯の強化に寄与する可能性がある

靭帯損傷のメカニズム
靭帯は主に伸ばされて損傷することが殆どです。
バラつきはあるものの、靭帯に対しておおよそ10〜30%の歪みを超えると完全な断裂に至るとされています。
特定の動作の反復で、微細な損傷が蓄積することも断裂しやすくなる要因とされています。
重症度
関節によって分類方法が若干異なるが、共通しているのは3段階の分類で、最重症であるGrade3を組織の完全な断裂としています。
重症度 | |
Grade 1 | 一部の靭帯断裂で関節不安定性はない |
Grade 2 | 大部分の靭帯断裂で軽度から中等度の関節不安定性を伴う |
Grade 3 | 靭帯の完全断裂で著名な関節不安定性を伴う |
Grade2に相当する靭帯では、損傷直後は正常靭帯の50%ほど強度が低下してしまいます。そのため更なるストレスで完全断裂(Grade3)へ移行しやすいので注意が必要となります。
靭帯損傷後の対処は?
損傷直後は、損傷靭帯の周辺に炎症が生じ、発赤・熱感・腫脹・疼痛を伴います。
損傷直後はテーピングパットによる患部の圧迫と患部を挙上しつつアイスパックや氷嚢にてアイシングを行うことが推奨されています。
10分アイシング➡︎10分室温➡︎10分アイシングのように間欠的にアイシングを行う方が痛みを減少させる効果があると言われています。
治癒過程

靭帯の治癒過程は、関節の外にあるのか中にあるのかで自然治癒が期待できるかできないかが異なってきます。
膝十字靭帯のように、関節内にある靭帯は自然治癒が期待できず、時間が経過しても断端同士の連続性は絶たれたままです。
その他の関節外にある靭帯は自然治癒が期待でき、治癒過程は組織学的に炎症期(受傷〜2日後)、増殖期(2日後〜1•2ヶ月後)、再構築期(1•2ヶ月後〜12ヶ月後)の3つの相に分類されます。
回復期間は、Grade3の完全断裂の場合、損傷後12週間で力学的強度はプラトーに達し、正常靭帯の60%程度までしか回復しないとされ、Grade2以下の損傷においては、損傷後6週間で正常靭帯とほぼ同様の強度にまで回復すると考えられています。
回復の促進・阻害因子

損傷した靭帯に対して、適切な時期に適切な負荷を与えることは、損傷組織の治癒を促進させます。
損傷靭帯に過度な負荷を与えると治癒を阻害することになるので負荷量には注意が必要になります。装具やテーピングなどで損傷靭帯が伸ばされないようにしながら運動を行うことも推奨されています。
過度な安静は靭帯の治癒に悪影響を及ぼす。動かないことで、損傷靭帯におけるコラーゲン繊維の減少や分解が進み、力学的に虚弱になります。適切な負荷を与えないで治癒した靭帯は、治癒完了後も靭帯の強度が虚弱で、関節の不安定性も進行するというリスクも孕んでいます。
骨格が未成熟である方が回復が早い。つまり年齢が若く骨格が成熟していない方が早く回復する。
運動前にアミノ酸とビタミンCを摂取すると靭帯の強化に寄与する可能性がある。
以上のように、スポーツの場面で捻挫をしてしまった場合は慌てずに、患部を圧迫・アイシングの初期対応をしっかりと行い、適切な時期に適切な負荷を与えることで、治癒を促進するだけでなく強化することも可能です。
捻挫で、痛みや不安定性がなかなか改善せずスポーツや日常生活に不安を抱えている方は是非ご来院をご検討ください。
参考資料:軟部組織損傷・障害のリハビリテーション P110〜188 Medical View社
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